「取引基本契約に債権譲渡禁止特約があるけれど、ファクタリングは使えるのか?」——これは多くの事業者が不安に思うポイントです。本記事では、2020年4月施行の改正民法の条文(第466条・第466条の2)に沿って「譲渡は有効か」「売掛先はどう対応できるか」を切り分け、2社間/3社間での扱い、対抗要件(通知・承諾・債権譲渡登記)、掲載99社の公式LPでの明記状況、申込時の手順を整理します。
譲渡制限特約(譲渡禁止特約)が付いた売掛債権でも、債権譲渡そのものの効力は妨げられません(民法第466条第2項)(民法第466条・e-Gov)。ただし、特約を知っていた(または重大な過失で知らなかった)譲受人に対しては、売掛先(債務者)は支払いを拒み、元の債権者へ支払ったことをもって対抗できます(同条第3項)。売掛先は供託で債務を免れることもできます(第466条の2)(民法第466条の2・e-Gov)。
つまり「特約があれば一切できない」のではなく、売掛先との関係で回収リスクが残る債権を、ファクタリング会社が買い取るかどうかの問題です。3社間方式は売掛先の承諾を得る過程で特約の扱いを確認することになり、2社間方式(売掛先に通知しない)は会社ごとの方針に左右されます。当サイトの集計85社の公式サイトで、特約付き債権への対応方針を明記している会社は5社でした(2026年9月25日確認)。明記のない会社には申込時に個別に確認してください。
申込前の手順は、①契約書で特約の有無と文言を確認、②ファクタリング会社に特約の存在を伝えて可否と方式を確認、③法人で2社間なら債権譲渡登記の要否と費用を確認、の3点です(第5章)。個別の契約・債権の判断は弁護士等の専門家に確認してください。
⚖️ 本記事は一般的な解説です。個別の契約・債権の取り扱いは、契約書の文言や個別事情によって結論が変わります。重要な判断の前には弁護士等の専門家・ファクタリング会社に必ず確認してください。
1. 債権譲渡禁止特約(譲渡制限特約)とは
債権譲渡禁止特約(譲渡制限特約)とは、売掛金などの債権について「第三者に譲渡してはならない」「譲渡には当社の書面による承諾を要する」などと取引先(売掛先)との契約で定める条項です。民法は「債権は、譲り渡すことができる」ことを原則とし(第466条第1項)、当事者が譲渡を禁止・制限する意思表示を「譲渡制限の意思表示」と呼んでいます(同条第2項)(民法第466条・e-Gov)。売掛先が「知らない第三者から請求されたくない」「支払先を固定したい」といった理由で設けるもので、大企業との取引基本契約や建設業の下請契約に含まれることがあります。
2. 2020年民法改正後の条文どおりの整理(第466条・第466条の2)
改正前の民法では、譲渡禁止特約に反する債権譲渡は無効になり得ると解されていました。2020年(令和2年)4月1日施行の改正民法(法務省 民法の一部を改正する法律(債権法改正)について)で、扱いは次のように整理されました。
| 条文 | 内容 | ファクタリングでの意味 |
|---|---|---|
| 第466条第2項 | 譲渡制限の意思表示があっても、債権の譲渡はその効力を妨げられない | 特約付き債権でも、ファクタリング会社(譲受人)への譲渡自体は有効 |
| 第466条第3項 | 譲渡制限の意思表示を知り、または重大な過失で知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は履行を拒むことができ、譲渡人への弁済その他の債務消滅事由をもって対抗できる | 売掛先は、特約を知って買い取った会社からの請求を拒み、従来どおり利用者(譲渡人)に支払える。会社にとっては回収リスク |
| 第466条第4項 | 債務者が債務を履行しない場合に、譲受人等が相当の期間を定めて譲渡人への履行を催告し、期間内に履行がないときは第3項を適用しない | 売掛先が誰にも支払わない状態が続けば、催告を経て譲受人が請求できるようになる |
| 第466条の2 | 譲渡制限の意思表示がされた金銭債権が譲渡されたとき、債務者は債権全額を供託でき、供託金の還付を請求できるのは譲受人に限られる | 売掛先は支払先の判断に迷う場合に供託で債務を免れ、供託金はファクタリング会社が受け取る |
条文は e-Gov 法令検索(民法 第466条(e-Gov)・第466条の2(e-Gov))の記述を要約したものです。預金債権など第466条の5等の例外はファクタリングの対象債権とは異なるため省いています。
ポイントは、改正法が「譲渡は有効」と「売掛先は特約を知る譲受人への支払いを拒める」を両立させている点です。ネット上には改正前の「特約があると譲渡は無効」という情報も残っていますが、現在は正確ではありません。一方で「改正後は特約を気にしなくてよい」も誤りで、特約はファクタリング会社が売掛先から直接回収できるかに影響し続けます。
3. 2社間・3社間での扱い(承諾・対抗要件・登記)
ファクタリング会社が「特約付き債権を買うか」は、上記第3項のリスクを誰がどう負うかで決まります。契約方式ごとに整理すると次のとおりです。
| 契約方式 | 特約付き債権の扱い | 対抗要件 |
|---|---|---|
| 3社間方式(売掛先に通知し承諾を得る) | 売掛先の承諾を得る過程で、特約の扱い(承諾により譲渡を認めるか)を売掛先と確認することになる。売掛先が承諾しなければ3社間は成立しない | 売掛先への通知または売掛先の承諾(第三者に対しては確定日付のある証書)(民法第467条・e-Gov) |
| 2社間方式(売掛先に通知しない) | 譲渡は有効だが、特約の存在を知って買い取った会社は売掛先に直接請求しても拒まれ得る(第3項)。利用者が売掛先から回収して会社に引き渡す通常の2社間の流れの中では表面化しにくいが、買い取るかどうかは会社ごとの方針による | 法人は債権譲渡登記で債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えられる(登記できる譲渡人は法人のみ)。債務者に対しては登記事項証明書を交付した通知または承諾が必要(法務省 債権譲渡登記制度の概要) |
注意したいのは、債権譲渡登記は特約の効力を消すものではない点です。登記は「他の譲受人など第三者との優劣」を決める対抗要件であり、売掛先との関係(第3項)は登記の有無で変わりません。また特約に反する譲渡は、法律上は有効でも取引先との契約上の約束に反することになるため、継続取引先との関係に影響し得ます。2社間・3社間の基本的な違いは2社間と3社間の違い、2社間の資金の流れと登記の仕組みは2社間ファクタリングの仕組みで解説しています。
4. 掲載99社の公式LPでの明記状況
当サイトの集計85社の公式サイト(2026年9月25日確認)で、「譲渡制限特約付き債権に対応」など特約への方針を明記している会社は5社でした。明記のない会社が特約付き債権を買い取るかどうかは公表条件からは判断できず、申込時に会社へ直接確認する必要があります。
公表条件から確認できるのは、2社間で対抗要件をどう備えるかに関わる「債権譲渡登記が不要(原則不要、または利用者が登記なしを選べる会社を含む)」の明記です。該当は次の表の28社で、明記内容の列に各社の公式の文言を載せています(2026年9月25日確認。登記不要を明記していた入金QUICKは2026年9月2日で新規申込受付終了のため除外)。登記不要型は登記費用がかからず登記情報から譲渡を知られることもありませんが、上記のとおり特約の効力自体は登記の有無と無関係です。手数料・入金・買取額は各社公式LPの公表値で、未公表は「公式LP記載なし」と表記しています。
| 会社 | 個人事業主 | 方式 | 手数料(公表) | 入金(公表最短) | 買取額(公表) | オンライン完結 | 明記内容 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| QuQuMo | ○ | 2社間 | 1%〜(上限LP記載なし) | 最短2時間(申込から) | 下限LP記載なし〜上限なし | ○ | 公式「さらに、当社との直接の2社間ファクタリングなので、取引先への通知や登記は一切不要で、請求書の売掛先 に知られることな…」(一切不要) |
| オルタ | ○ | 2社間 | 2%〜9% | 最短即日 | 下限なし〜上限なし | ○ | 公式「利用規定で定める一部の場合を除き、お客様の取引先に連絡することはなく、債権譲渡登記も行いません。」(原則不要(利用規定の一部の場合を除く)) |
| ベストファクター | ○ | 2社間・3社間 | 2%〜20% | 最短即日 | 30万円〜1億円 | × | 公式「通常、ご売却いただく売掛金については、二重譲渡の対抗要件として法務局にて債権譲渡の登記を行います。 … ご希望でした…」(希望により登記なし(通常は登記)) |
| ベストペイ | ○ | 2社間 | 5%〜(上限LP記載なし) | 最短1営業日 | 30万円〜1億円 | × | 公式「債権譲渡登記は必要ですか 登記せずにご利用いただくこともできます。債権譲渡移転登記なしのファクタリングもご相談ください。」(登記なしで利用可(利用者の選択)) |
| アクセルファクター | ○ | 2社間・3社間 | 2社間1%〜12%/3社間0.5%〜10.5% | 最短即日 | 下限LP記載なし〜1億円 | ○ | 公式「Q 債権譲渡登記は必要ですか? 必須ではございません。審査結果によっては設定をお願いすることもございます。」(必須ではない(審査結果により設定依頼あり)) |
| 株式会社No.1 | ○ | 2社間・3社間 | 2社間0.5%〜15%/3社間0.5%〜5% | 最短30分 | 50万円〜3億円 | ○ | 公式「No.1ファクタリングご利用条件 … 債権譲渡登記の設定 登記留保可能」(登記留保可能(要相談)) |
| メンターキャピタル | ○ | 2社間 | 公式LP記載なし/要問合せ | 最短即日 | 公式LP記載なし/要問合せ | 未公表 | 公式「登記は必要になりますか? 原則登記保留にてご契約いただけます。」(原則登記保留) |
| みんなのファクタリング | ○ | 2社間 | 公式LP記載なし/要問合せ | 最短1時間 | 公式LP記載なし/要問合せ | ○ | 公式「「みんなのファクタリング」が選ばれる理由 … 債権譲渡登記原則なし」(原則なし) |
| MSFJ | ○ | 2社間・3社間 | 1.8%〜9.8% | 最短1時間 | 10万円〜3億円 | ○ | 公式「…債権譲渡登記はしなくともファクタリングが利用できます。」(登記なしで利用可) |
| ジャパンマネジメント(営業状況未確認) | ○ | 2社間・3社間 | 公式LP記載なし/要問合せ | 最短1日 | 20万円〜5,000万円 | × | 公式「原則として2社間ファクタリングは債権譲渡登記の留保も可能です。 お客様が登記を望まないのであれば、登記は行いません。」(登記留保可(希望しなければ登記しない)・2022年時点の表記) |
| ウィット | ○ | 2社間・3社間 | 公式LP記載なし/要問合せ | 最短2時間 | 下限なし〜上限LP記載なし | ○ | 公式「連絡なし登記なし 関わりは一切なし」(連絡なし登記なし(仕組み図の画像)) |
| のりかえPLUS | ○ | 公式LP記載なし | 公式LP記載なし/要問合せ | 最短90分 | 公式LP記載なし/要問合せ | ○ | 公式「債権譲渡登記なし 取引先、銀行などに知られることなくご利用いただけます。」(登記なし) |
| ソクモ | ○ | 2社間 | 1%〜15% | 最短30分 | 10万円〜1億円 | ○ | 公式「SoKuMoと他社ファクタリング比較 … 債権譲渡登記 留保 留保 必須」(登記留保) |
| 買速 | ○ | 2社間・3社間 | 2%〜10% | 最短30分(申込から) | 10万円〜1億円 | ○ | 公式「Q. 債権譲渡登記は必須ですか? いいえ、買速では「債権譲渡登記の留保(登記なし)」が可能です。」(登記留保(登記なし)可) |
| レバンタ | ○ | 2社間・3社間 | 4%〜10% | 最短即日 | 10万円〜1億円 | ○ | 公式「登記は必要ですか? 基本的に必要ありませんが、取引方法や売掛先企業様のご都合によっては必要になる場合もあります。」(基本的に不要(例外あり)) |
| JTC | ○ | 2社間・3社間 | 1.2%〜10% | 最短即日 | 100万円〜上限なし | × | 公式「JTC A社 B社 … 債権譲渡登記 どちらでも可能 必要 不要」(どちらでも可能) |
| ファクタリングZERO | ○ | 2社間・3社間 | 1.5%〜10% | 最短即日 | 20万円〜5,000万円 | ○ | 公式「ファクタリングZEROと 他社のファクタリングサービスとの比較 … 債権譲 渡登記 留保 必須 必須」(登記留保) |
| グッドプラス | ○ | 2社間 | 5%〜15% | 最短90分(申込から) | 公式LP記載なし/要問合せ | ○ | 公式「ファクタリング(売掛債権売買取引)では債権譲渡登記は必要ですか? お客様が登記を望まないのであれば、登記は行いません。」(希望しなければ登記しない) |
| アンカーガーディアン | ○ | 2社間・3社間 | 2社間5%〜15%/3社間3%〜10% | 最短即日 | 下限LP記載なし〜5,000万円 | 未公表 | 公式「アンカーガーディアンでは登記を省略 … アンカーガーディアンは、これらの負担を極限まで抑えるため、原則として債権譲渡…」(原則不要(個人事業主は登記なし)) |
| AGビジネスサポート | ○ | 2社間・3社間 | 2%〜9.9% | 最短即日 | 1万円〜上限LP記載なし | ○ | 公式「買取時の登記は必要ですか? 原則、登記はしておりません。」(原則不要) |
| 電子請求書早払い | × | 2社間 | 1%〜6% | 最短2営業日 | 10万円〜1億円 | ○ | 公式「取引先への通知 原則不要 取引先様に知られることなく 利用できます。 債権譲渡登記 原則不要 手間や費用はかかりません。」(原則不要) |
| マネーフォワード早期入金 | × | 2社間 | 0.5%〜(上限LP記載なし) | 最短即日 | 公式LP記載なし/要問合せ | ○ | 公式「2者間ファクタリングサービスです。 お取引先様への通知、債権譲渡登記は不要なので今後のビジネスに影響を与えることなく…」(不要) |
| けんせつくん | ○ | 公式LP記載なし | 2%〜(上限LP記載なし) | 最短2時間 | 公式LP記載なし/要問合せ | ○ | 公式「連絡なし登記なし 関わりは一切なし」(連絡なし登記なし(仕組み図)) |
| ペイトゥデイ | ○ | 2社間 | 1%〜9.5% | 最短30分 | 10万円〜上限なし | ○ | 公式「Q.債権譲渡登記は必要ですか? A.いいえ。弊社では債権譲渡登記を行っておりませんので、スムーズかつ費用を抑えた上で…」(登記を行っていない) |
| バイオン | ○ | 2社間 | 一律10%・振込手数料500円別途 | 最短1時間(振込は契約後30分) | 5万円〜1,000万円 | ○ | 公式「売掛先への通知や登記は必要ですか? 売掛先への通知や登記は原則不要です。」(原則不要) |
| クールペイ | ○ | 2社間 | 公式LP記載なし/要問合せ | 最短1時間 | 3万円(初回は15万円以上)〜上限LP記載なし | ○ | 公式「CoolPayでは基本的に債権譲渡登記は不要です 当社は、基本的に債権譲渡登記不要でファクタリング契約をすることがで…」(基本的に不要(査定上の提案あり・断れる)) |
| GMO BtoB早払い | × | 2社間 | 1%〜12%(請求書1〜10%・注文書2〜12%) | 最短2営業日 | 100万円〜1億円 | ○ | 公式「買取時の登記は必要ですか? 原則登記はしておりません。※詳しくはお問い合わせください。」(原則不要) |
| JPS | × | 2社間・3社間 | 2社間5%〜10%/3社間2%〜8% | 最短1時間(契約まで) | 下限LP記載なし〜3億円 | ○ | 公式「登記は必要ですか? 原則登記は不要です。」(原則不要) |
| 共栄サポート | × | 2社間・3社間 | 2%〜(上限LP記載なし) | 最短2時間 | 下限LP記載なし〜1億円 | ○ | 公式「取引先に通知なし 通知なしで安心 債権譲渡登記の設定不要 設定不要」(設定不要) |
| Progress | ○ | 2社間・3社間 | 3%〜(上限LP記載なし) | 最短即日 | 下限LP記載なし〜5,000万円 | 未公表 | 公式「Q ファクタリングを利用する際に債権譲渡登記は必須でしょうか。 弊社ファクタリングサービスでは、原則として登記なしで…」(原則登記なし) |
| 3Sファクタリング | ○ | 2社間 | 2%〜19% | 最短2時間 | 下限LP記載なし〜上限なし | ○ | 公式「債権譲渡登記は設定はされますか? 原則は不要ですが、登記が必要な場合があります。」(原則不要(必要な場合あり)) |
| OLTAクラウドファクタリング supported by 静岡銀行 | ○ | 2社間 | 2%〜9% | 最短即日 | 下限なし〜上限なし | ○ | 公式「利用規定で定める一部の場合を除き、お客様の取引先に連絡することはなく、債権譲渡登記も行いません。」(原則不要(利用規定の一部の場合を除く)) |
| かるガルファクタリング | × | 2社間 | 2%〜12%(グループで輸送した売掛金は2〜9%) | 最短2日 | 50万円〜1,000万円(売掛先1社あたり) | 未公表 | 公式「本サービスでは、お取引先(債務者)への通知・承諾取付は行わず、また原則として債権譲渡登記も行いませんので、お取引先に…」(原則不要) |
| うんそうくん | ○ | 公式LP記載なし | 5%〜(上限LP記載なし) | 最短2時間 | 下限なし〜上限なし | ○ | 公式「連絡なし登記なし 関わりは一切なし」(連絡なし登記なし(仕組み図の画像)) |
※ベストペイはベストファクターと同じ株式会社アレシアのサービス。のりかえPLUSはグッドプラスと同じGoodPlus株式会社のサービス。ソクモは買速と同じ株式会社アドプランニングのサービス。電子請求書早払いはGMO BtoB早払いと同じGMOペイメントゲートウェイ株式会社が買い取るサービス。けんせつくんはウィットのサービス。OLTAクラウドファクタリング supported by 静岡銀行はオルタと同じOLTA株式会社のサービス。社数の集計ではそれぞれ1社として数えています。
登記の要否を明示する会社の詳しい取り扱いと、登記が二重譲渡の抑止に果たす役割は二重譲渡のリスクと債権譲渡登記にまとめています。
5. 特約付き債権を申し込むときの手順と注意点
- 契約書で特約の文言を確認する: 「譲渡禁止」か「事前の書面承諾を要する」かで、売掛先に承諾を求める余地が変わります。取引基本契約・個別契約・注文書の順に確認します(契約時のチェックポイント)。
- ファクタリング会社に特約の存在を伝える: 会社は第3項のリスクを負うため、隠して契約すると告知義務違反として契約解除や損害賠償の対象になり得ます。特約を伝えたうえで「買い取れるか」「2社間か3社間か」「手数料が変わるか」を確認します(ファクタリング審査は売掛先で決まる)。
- 承諾を得られる売掛先なら3社間も検討する: 官公庁や上場企業など承諾手続きが整っている売掛先であれば、承諾を得て3社間にする方が会社側のリスクが下がり、条件面でも有利になりやすいです(3社間のメリット・デメリット)。
- 法人の2社間は登記の要否と費用を確認する: 登記が必要な場合は登録免許税等の実費や司法書士報酬が別途かかることがあります(手数料の内訳)。
- 「特約があっても絶対大丈夫」と断定する業者は避ける: 金融庁は、ファクタリングを装った高額な手数料の取引や、償還請求権付きなど経済的に貸付けと同様の機能を持つ取引について注意喚起しています(金融庁 ファクタリングの利用に関する注意喚起)。特約の扱いを曖昧にしたまま契約を急がせる業者は違法業者の見分け方で確認してください。
会社の選び方そのものはファクタリング会社の選び方の7項目に沿って、特約の有無を伝えたうえで複数社から見積もりを取るのが安全です。
6. 関連記事との使い分け
本記事は「譲渡制限特約付き債権の法律上の扱いと申込手順」に絞っています。ファクタリングの基礎と方式選びの全体像はファクタリングとは、取引先に知られずに使う条件は取引先に知られないファクタリング、債権譲渡登記と二重譲渡の防止は二重譲渡のリスクと債権譲渡登記、2社間の契約構造と登記の仕組みは2社間ファクタリングの仕組みにまとめています。
7. よくある質問
Q1. 債権譲渡禁止特約があるとファクタリングは使えませんか?
A. 使えないとは限りません。2020年4月施行の改正民法第466条第2項により、譲渡制限特約があっても債権譲渡の効力は妨げられません。ただし同条第3項により、特約を知っていた(または重大な過失で知らなかった)譲受人に対して売掛先は支払いを拒み、元の債権者に支払うことができます。この回収リスクをファクタリング会社が引き受けるかは会社ごとの方針で、集計85社の公式サイトで方針を明記する会社は5社のため、申込時に特約の存在を伝えて確認してください。
Q2. 2020年の民法改正で何が変わったのですか?
A. 改正前は譲渡禁止特約に反する債権譲渡が無効になり得ると解されていましたが、改正民法第466条第2項は譲渡制限の意思表示があっても譲渡の効力は妨げられないと定めました。同時に債務者保護として、特約を知る譲受人への支払いを拒んで譲渡人に支払える第3項、譲受人の催告後に第3項を適用しない第4項、債務者が供託できる第466条の2が設けられています。
Q3. 2社間と3社間で扱いは違いますか?
A. 違います。3社間方式は売掛先に通知して承諾を得るため、承諾の過程で特約の扱いを売掛先と確認することになり、承諾が得られなければ成立しません。2社間方式は売掛先に通知しないため、譲渡は有効でも第466条第3項のリスク(売掛先が会社からの直接請求を拒める)を会社が負うことになり、特約付き債権を買い取るかは会社ごとの方針によります。
Q4. 債権譲渡登記をすれば特約の問題は解消しますか?
A. 解消しません。債権譲渡登記は、法人が金銭債権を譲渡したときに債務者以外の第三者に対する対抗要件を備える制度で、債務者に対して譲渡を主張するには登記事項証明書を交付した通知または債務者の承諾が必要です。特約の効力(売掛先が特約を知る譲受人への支払いを拒めること)は登記の有無で変わりません。集計85社(受付終了の入金QUICKを除く98社、同じ会社が運営する掲載は1社として85社で集計)の公式サイト(2026年9月25日確認)で、登記不要(原則不要、または利用者が登記なしを選べる会社を含む)を明記する会社は28社です。
Q5. ファクタリング会社に特約のことを伝えるべきですか?
A. はい、必ず伝えてください。特約を知って買い取った会社は売掛先から直接回収できない可能性を負うため、特約の存在は審査の前提事項です。隠して契約すると告知義務違反として契約解除や損害賠償の対象になり得ます。伝えたうえで、買取の可否・2社間か3社間か・手数料への影響を確認し、「特約があっても絶対大丈夫」と断定して契約を急がせる業者は避けてください。
更新履歴
- 公式サイトの更新を2022年7月14日より後に確認できない会社の比較表の行に「(営業状況未確認)」を付け、行が引く公式サイトの記載を2022年時点の表記と明記
- 買取額の出典を公式サイトの記載の優先順位(サービス・料金の頁 > よくある質問 > LP > ブログ・コラム・ランキング記事)で見直し、トップ・マネジメント・バイオンの買取額と関連する集計を更新
- 会社を評価・順位づけする表現(最上級・推奨の語など)を、その会社の公式サイトの文言(出典つき)か掲載データに合わせて書き直し、株式会社No.1の買取額を公式サービスページの記載(50万円〜3億円)に訂正
- 公式サイトのページどうしで手数料の記載が異なる会社の値を、ページの優先順位(サービス・料金>よくある質問>LP・広告・トップ>ブログ・コラム)で決め直し、採用しなかった公式の記載を各社のページに併記
- 同じ会社が運営する掲載を1社として数える集計に切り替え(受付中の掲載98件を85社)、集計値・比較表・表の注記を再計算
更新履歴は編集履歴から自動生成しています(直近5件、表現の微修正や内部的な変更は除く)。