1. ファクタリングの種類の全体像 — 分類は「目的」と「債権の中身」で整理する
ファクタリングの種類は、「目的」で分けると買取型と保証型の2種類、「債権の中身」で分けると一括・医療介護・国際・注文書などの派生型に整理できます。よく並べて語られる2社間・3社間は種類そのものではなく、買取型の中の契約方式の違いです。この区別を押さえるだけで、各社サービスの比較が一気に楽になります。
| 種類 | 目的 | 主な利用者 | 手数料の目安 |
|---|---|---|---|
| 買取型(2社間) | 売掛債権の早期資金化 | 売掛先に知られず資金化したい中小企業・個人事業主 | 5〜20% |
| 買取型(3社間) | 売掛債権の早期資金化 | 売掛先の承諾を得られ、コストを抑えたい企業 | 1〜9% |
| 保証型 | 貸倒れリスクの回避 | 特定の取引先への依存度が高い企業 | 保証料型(現金化なし) |
| 一括型 | 支払業務の効率化(手形の代替) | 支払側の大企業が主導で導入 | 導入企業の契約による |
| 医療・介護報酬 | 公的報酬債権の早期資金化 | クリニック・調剤薬局・介護事業者 | 0.25%(月率)〜3%(下限公表16社・中央値2.0%) |
| 国際 | 輸出代金の回収保証 | 海外と取引する輸出企業 | 銀行系大手の見積による |
| 注文書型 | 受注段階での資金化 | 仕入・外注費が先行する受注型ビジネス | 通常の買取型より高め |
2. 買取型ファクタリング — 資金調達の主流
売掛債権をファクタリング会社に売却して現金化するタイプです。日本で「ファクタリング」と言えば一般的にこの買取型を指します。請求書を発行済みの売掛金を支払期日前に資金化できるため、資金繰りの改善が主な目的になります。
正規の買取型は「償還請求権なし」が原則
重要なのは、正規の買取型は原則償還請求権なし(ノンリコース)で契約される点です。万一売掛先が倒産して回収不能になっても、売却済みの債権について事業者が穴埋めする義務はありません(金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」)。逆に「償還請求権あり」を求める業者は、実態が売掛債権を担保にした資金提供に近く、違法な偽装ファクタリングを疑うサインの一つです。
2社間と3社間 — 種類ではなく契約方式
買取型の契約方式には、売掛先に通知せず事業者とファクタリング会社の間だけで完結する2社間方式(手数料5〜20%)と、売掛先の承諾を得て(民法第467条・e-Gov)売掛金を直接ファクタリング会社へ支払ってもらう3社間方式(同1〜9%)があります。スピードと秘匿性なら2社間、コスト重視なら3社間が基本です。詳しくは2社間ファクタリングの仕組み・2社間と3社間の違いをご覧ください。
掲載99社(集計85社)での取扱い — 2社間対応58社・3社間対応54社
当サイト掲載99社(受付中98社、同じ会社が運営する掲載は1社として85社で集計)の公表情報を集計すると、2社間方式に対応するのは58社、3社間方式は54社、両方式に対応するのは36社で、残る9社は契約方式を公表していません(2026年9月26日時点の当サイト集計)。売掛先への通知なしを明記するのは54社、申込から契約までオンラインで完結するのは48社です。買取型の中でも「2社間だけ」「3社間だけ」の会社があるため、方式を先に決めてから会社を絞ると比較が速くなります。方式別の会社は会社一覧で確認できます。
3. 保証型ファクタリング — 売掛金の「保険」
売掛債権の貸倒れリスクを保証してもらうタイプです。売掛先が倒産して売掛金が回収不能になった場合に、あらかじめ設定した保証枠の範囲でファクタリング会社が支払います。現金化ではなくリスクヘッジが目的で、売掛金にかける保険に近いイメージのサービスです。
向いている事業者・向かない事業者
向いているのは「売上の大半が特定の大口取引先に集中している」「新規取引先の与信情報が乏しい」「取引先に保証をかけたことを知られたくない」企業です。保証をかけたこと自体は売掛先に通知されないのが一般的で、支払は保証料として発生します。一方、通常時に受け取る資金はないため、目の前の資金繰りを埋めたい事業者には向きません。資金化が目的なら買取型を選びます。買取型・保証型・ABL(売掛債権担保融資)の違いは比較ガイドで整理しています。
集計85社での取扱い — 保証型を明記するのは8社
集計85社のうち保証型ファクタリングを公表情報に明記するのは8社で、三菱UFJファクター・みずほファクター・りそな決済サービスなど銀行系・大手グループ系が中心です(当サイト集計)。独立系のオンライン完結型サービスは買取型(2社間)が主力で、保証型を扱う会社はほとんどありません。保証型を検討する場合は取引銀行のグループ会社から当たるのが近道です。
4. 一括ファクタリング — 手形に代わる決済インフラ
支払側の企業(主に大企業)が主導して導入するタイプで、下請企業への支払を手形の代わりにファクタリング会社経由で一括処理する仕組みです。納入企業は支払期日を待たずに債権を資金化でき、支払企業は手形の発行・管理事務を削減できます。
申し込むのは支払企業 — 中小企業が自分で選ぶ種類ではない
役割としては約束手形の代替であり、近年は電子記録債権(でんさい)への移行も進んでいます。中小企業が自ら申し込む買取型とは導入の主体が逆で、納入企業側は「取引先が一括ファクタリングを導入しているか」で利用できるかが決まります。自社の資金繰りのために選ぶ種類ではない点に注意してください。でんさいとファクタリングの違い・手形割引との違いも参考になります。
集計85社での取扱い — 一括型を明記するのは7社
集計85社のうち一括ファクタリングを公式サイトで明記するのは7社(三菱UFJファクター・りそな決済サービス・百十四銀行・北洋銀行・静岡銀行・かるガルファクタリング・四国銀行)で、かるガルファクタリング(運営会社セイノーフィナンシャルの別サービス)のほかは銀行・銀行グループ系です(2026年9月25日確認)。地方銀行の「一括ファクタリングシステム」は地場の支払企業向けに提供されているものが多く、比較して選ぶ性質のサービスではありません。
5. 医療・介護報酬ファクタリング — 公的債権ならではの低コスト
買取型の一種で、診療報酬・調剤報酬・介護報酬債権に特化したタイプです。医療機関や介護事業者が国保連・社保基金に請求した報酬は入金までタイムラグがあるため、その間の資金繰りを埋める目的で使われます。
手数料が低い理由 — 売掛先が公的機関
売掛先にあたる支払機関が公的機関で貸倒れリスクが極めて小さいため、個別には1%以下の低い下限を公表する会社もあります。集計85社のうち医療・介護報酬を明記する24社で下限を公表する16社は0.25%(月率)〜3%・中央値2.0%(うち下限1%以下は6社)で、下限を公表する56社全体の中央値(2.0%)と同じ水準でした(手数料の相場と読み方の集計表・2026年9月26日時点)。開業直後の設備資金・人件費の立て替えが必要なクリニックや薬局、利用者増で先行費用がかさむ介護事業者に適しています。
集計85社での取扱い — 医療・介護報酬を明記するのは24社
公式サイトで診療報酬・介護報酬・調剤報酬・障害福祉サービス等報酬のいずれかの買取を明記するのは24社です(2026年9月25日確認)。同じ「医療」でも診療報酬・調剤報酬・介護報酬のどれに対応するかは会社ごとに異なるため、詳細は診療報酬ファクタリング・介護報酬ファクタリングの個別ガイドで確認してください。
6. 国際ファクタリング — 輸出代金の回収を保証
海外企業への輸出売掛債権を対象とするタイプです。国内のファクタリング会社と輸入国側の提携ファクタリング会社が連携し、輸出者・輸入者を含めた4者構造で輸入者の信用調査と代金回収を行います。
目的は資金化より「海外取引先の不払いリスク」のヘッジ
目的は早期資金化よりも「海外取引先が支払わないリスク」のヘッジが中心で、信用状(L/C)を開設せずに海外取引を進めたい場合の代替手段として使われます。取扱いは銀行系など一部の大手に限られるため、中小企業向けの独立系サービスとは利用ルートが異なります。
集計85社での取扱い — 国際型を明記するのは3社
集計85社のうち国際ファクタリング(輸出債権の保証・買取)を公式サイトで明記するのは3社(三菱UFJファクター・みずほファクター・りそな決済サービス)で、いずれも保証型と併せて扱う銀行グループ系です(2026年9月25日確認)。大手の取扱状況は上場・大手系ファクタリング一覧で確認できます。
7. 注文書(発注書)ファクタリング — 受注段階で資金化
請求書発行前の注文書・発注書の段階で将来の売掛債権を資金化する比較的新しいタイプです。材料費・外注費が先行する製造業や建設業のように「受注はあるのに着手資金がない」場面で有効です。
手数料は請求書買取より高め — 掲載社の公表例
通常の買取型より入金までの不確実性が高いぶん、対応する会社は限られ手数料も高めになる傾向があります。掲載社の公表例では、同じ会社で請求書買取1〜10%・注文書買取2〜12%と、注文書の方が上下限とも高い料率が示されています(公式LP記載・2026年9月15日時点)。まずは請求書ベースの通常型で足りないかを検討するのが基本です。
集計85社での取扱い — 注文書買取を明記するのは12社
集計85社のうち注文書・発注書の買取を公式サイトで明記するのは12社(トップ・マネジメント(ペイブリッジを含む)、ベストペイ、ウィット(けんせつくんを含む)、シュクラン、土建くん、財務再生支援センター、レガシア、マネーフォワード早期入金、ビートレーディング、GMO BtoB早払い、Progress、うんそうくん)で、土建くん・けんせつくん・うんそうくんなど建設業・運送業の特化型も含まれます(2026年9月25日確認)。対象が法人に限られる、設立年数や月商の条件があるなど、受け付ける条件は会社ごとに異なるため、各社の公式サイトで確認してください。
8. 【注意】「給与ファクタリング」は利用しない
個人の給与を債権とみなして買い取ると称する「給与ファクタリング」は、ここまでの事業者向けファクタリングとはまったくの別物です。金融庁は、「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)の賃金債権を買い取って金銭を交付し、本人を通じて回収することは貸金業に該当するとして利用しないよう呼びかけており、最高裁も令和5年2月20日の決定で、その取引に基づく金銭の交付を貸金業法・出資法の「貸付け」に当たると判断しています(金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」)。貸金業登録のない業者による給与ファクタリングは違法です。
本サイトで扱うのは事業者の売掛債権に限られます。悪質業者の手口は違法業者の摘発事例で解説しています。
9. 種類の選び方 — 3つの質問で決まる
種類が多く見えても、実際の選び方は次の3ステップで整理できます。
- 目的は資金化か、リスクヘッジか — 資金化なら買取型、貸倒れ対策なら保証型。
- 債権の種類は何か — 診療・介護報酬なら医療・介護報酬を扱う専門型、輸出債権なら国際型、請求書発行前なら注文書型。
- 取引先に知られてよいか — 通知を避けたいなら2社間、手数料を抑えたいなら3社間。
そのうえで自社の業種・金額・急ぎ度に合うサービスを絞り込む手順はファクタリング会社の選び方で詳しく解説しています。基礎から確認したい方はファクタリングとは(完全ガイド)へどうぞ。償還請求権・対抗要件など本文の用語の定義と掲載99社での明記社数はファクタリング用語集で確認できます。
10. よくある質問
更新履歴
- ファクタリングと貸金業の関係(給与ファクタリングの扱いを含む)の説明を、金融庁の注意喚起などの公的な出典に合わせて訂正
- 集計の日付(…時点)を会社データの最新の確認日(2026年9月26日)に更新
- 会社を評価・順位づけする表現(最上級・推奨の語など)を、その会社の公式サイトの文言(出典つき)か掲載データに合わせて書き直し、株式会社No.1の買取額を公式サービスページの記載(50万円〜3億円)に訂正
- 同じ会社の掲載を1社として数える集計を、条件別の集計にも同じ規則で当てて再計算(同じ会社の2つの掲載を2社と数えていた箇所を訂正)
- 公式サイトのページどうしで手数料の記載が異なる会社の値を、ページの優先順位(サービス・料金>よくある質問>LP・広告・トップ>ブログ・コラム)で決め直し、採用しなかった公式の記載を各社のページに併記
更新履歴は編集履歴から自動生成しています(直近5件、表現の微修正や内部的な変更は除く)。